介護の仕事は、求人情報誌や折込チラシなどでよく人材を募集をしている。情報を目にしやすいからか、私の職場にも女性が多く入職してくる。
ケース1:20代後半子持ちの主婦の話
お子さんを1歳で保育園に入れ、これまでにウェイトレス、レジ打ち、コンビニなどを経験してきたという。そのどれもがシフト制で働いていたらしい。しかしお子さんはまだ1歳ということもあって、風邪や感染症で呼び出されたり、長期間休んでしまうことも少なくなかった。接客業ということもあり、お店にスタッフのいない状況は作れず、自分で穴を埋めてくれる人を探さなければならなかったという。主婦はすでに用事があることが多く、学生はよくわからない理由で断られることが多かった。お子さんが3歳のときにインフルエンザにかかり、退職を決意。今まで事務職や営業を経験したことのない彼女にとって、「日中のみ」「残業なし」の職を接客業以外で探すことは困難であった。そんな彼女がふと手にしたチラシには「無資格・未経験歓迎!週1日~OKで曜日・時間相談可能」の文字が。
この施設は子育て中のスタッフも多くいて、お互いを気遣いフォローのし合える職場だ。今までの状況を面接で説明し、その返答を得た彼女は魅力を感じ、入職をした。
ケース2:40代後半の主婦の話
彼女の場合はもう子育ても終わっており、一番下のお子さんもすでに大学3年生。時短や融通のきく仕事じゃなくても平気な彼女がこの職場を選んだのには理由がある。
OLとして経理で20年活躍していた彼女は、母親が骨折し、入院。そして介護が始まったことをきっかけに介護業界への興味が湧いたらしい。
無事退院できたもののほとんど外に出たがらず、そのまま寝たきりになってしまったことが原因で介護が始まった。亡くなるまでの介護期間は約1年。介護を行っている間も、介護休業制度や短時間勤務を駆使して乗り切ったようだが、彼女の考え方を変えるのには充分な濃密な時間だった。
「介護が必要になってからではなく、もっと前から介護について学んでいたら」
「介護が必要無くなるくらい、予防への努力をすべきだった」「今からでも老年看護を学んで、この重要性を周りの人に広めていきたい」と。
介護の仕事は、小さな子どものいる主婦には働きやすい現場であり、子育てが一段落ついた女性にとってはこれからの親の介護へ目を向け、学んでいける機会がある魅力的な職場と言えるであろう。